自作備忘録(カスタム IEM 自作)

イヤホン カスタム iem 自作

IE800 第2章② 〜本当のハイスペックとは?〜

f:id:domingo55:20201016073511j:image

 

久しぶりに早く帰れたので、組み上げてみた。

以前組んだ時には筐体をシェルの中に入れてしまうことにこだわったが、今回は素直に外に出した。

ノーマルの音抜き穴もそのままとし、シェルの中には引き込まなかった。理由は、見た目を重視ってやつ。IE800については、自然な音にしたかったのもある。d( ̄  ̄)

 

◯作成上の工夫など。

音導管は、約6ミリと極太。最近、音導管は太めの方がいい結果になると感じている。

 

最も注意したのは、ドライバの挿入深さ。

ノーマルのIE800は、「音が遠い」と言われる事も多いように、挿入深さが浅いと迫力に欠ける音になる。今回は目一杯深く(鼓膜に近づけた)。あと、挿入深さもできるだけ直線的にした。

 

制振用のオモリは無し。レジンも柔らかめなものを使用した。

 

 

 

さて、さて。出音である。

◯音の近さ

音がちゃんと普通に「近い」変な広がりも無く、その点では欠点は克服できたと思う。鼓膜に近づけたのは大正解だ。

◯柔らかい

音全体の印象としては、「柔らかい」。決してボヤけたり曖昧になることは無く、むしろ高解像度で鮮明なのだが、高音部の攻撃性がない。他の最新イヤホンでは、ハイレゾ感とか言いつつ高音部がギリギリまで攻め込んである印象だが、そのギリギリ感が無く、音量をあげていっても素直に心地よい。

 

◯音のバランス

高音、低音は全く不足なくベストなバランスだと思える。

低音は、締まりまくっている訳ではないが、ベースやキックの輪郭は明瞭でそのまわりに、柔らかい付帯音がつく感じ。これはこれで、大正解。上手いなーって感じ。

 

◯空間表現

悪くない、聴いている分には不快は感じない。普通の基準で聴くと、おそらく「空間は広い」と表現されるのだろう。

だが、アシダホンと比べてしまうと狭い。左右も前後も全く及ばない。

IE800は8ミリクラス、アシダホンは15ミリ。やはりドライバ口径による特性の差は絶対的だと思う。

 

 

◯まとめとして。

空間は普通なものの、解像度が高い。解像度が高いのに全く刺さらない。

この解像度が高いのに、全く刺さらない。音が攻撃してこないという感覚はとても好ましい。女性ボーカルやハイハットに素直を注意を払えることで音楽の感じ方が全く違ってしまう。最近の音楽の聞き方が間違っていたなではないか?なんて思ってしまうほど。。

d( ̄  ̄)

 

最新のイヤホンはとにかく高音が鮮明。そのおかげで細かい音が聞こえたり、空間が広くなったりしている。ハイスペックなんだと感じてしまいがち。

しかし、音楽の最も美味しい部分 〜絶妙な楽器間の干渉〜 が生み出すグルーブ感が感じにくくなっているのではないか。。その意味では本当のハイスペックとは、音じゃなく、音楽を聞かせてくれるモノであるべき。

昨日までそんな事は思わなかったのだが、このie800を聴いて、最新イヤホンたちの方向性に少し疑問を持ってしまった。

 

IE800で聴く音は、新しい細かい音が聴こえたり、広大な空間に酔いしれたり。。そんな音では全くない。全部知ってる音。聴いたことのある音。

だが、聞き慣れた音楽がまるで新しい曲を聴くように、新鮮に聴こえている。

 

 

「こんな音入ってんだ」ではなく、

「こんなグルーブだったんだ」

 

 

私のイヤホン作りに、重要な視点を入れてくれたと思う。作ってよかった。

d( ̄  ̄)