自作コンテスト用に、イヤピースイヤホンを作ったわけだが、本当に難しかった。
最近、ダイナミックドライバ1発のイヤホンをよく作っており、かなり気に入った音が出せていたので、甘くみていたのかもしれない。
特に難しかったのが、組上後しばらく経ってからの音質変化に対応すること。
カスタムイヤホンでも作成後の音質変化への対応は発生していたが、今回はカスタムイヤホン以上に大変さを感じた。
とにかく、中域が大暴れをはじめて手がつけられなかった。(>_<)
俗に言うエージングは、25時間くらいで発送したが、100時間以上とかすると違っていたのかもしれない。
まっ、新たに得た知識も多いが、課題もたくさん見えたチャレンジだったと思う。d( ̄  ̄)
以下、今回の作品で試したことを整理しておく。
①ドライバをマウントする部品
写真ではイヤピースを付ける黒色の部分。
市販品を分解した残骸を加工して使用している。今回は、二種類採用して最終的に写真の黒色のものが残った。まぁ、内部を削るので金属であればなんでも良かった。。
削り方は、音の動きをイメージして、スムーズに流れるように意識した。
②ドライバと音導管の位置
上記①の部品選定にも影響する。
今回の課題ドライバはそんなに解像度が高くないので、できるだけ音を真っ直ぐに出して解像度を確保することを優先した。音導管がドライバの中心から垂直に出るものを採用した。
③ドライバの前面容積
上記①の部品の中でのドライバの前後位置の違いによる音質変化も大きい。いろいろ聴き比べ、最終的には最小容積とした。
④イヤホンの制振
上記①の部品の背面の銀色部分。
ホームセンターで売っている真鍮製の「飾りネジ」を加工して使用した。これにより、イヤホン全体でかなりの重さ(9グラム程度)を確保した。
低音が締まり、解像度もあがる。
⑤mmcxコネクター部の筐体
形を決めて、雄型をつくり、シリコンゴムで型取り。
その型を使ってレジンでシェル状に成形した。
シリコンの型自体は以前作成していたので、今回は手間いらずだった。
はじめから作っていたら、面倒だったと思う。
⑥ドライバ背面の容量
上の写真でわかるように、飾りネジの中とmmcxコネクターをつけた筐体の部分の2段階で容積室を確保した。2室の連結はビニールパイプをつかった。
音を聞きながら、容積の大小を調整した。
⑦筐体への音抜き穴
普段は遮音性確保のため絶対使わないのだが、イヤーチップ型のイヤホンの場合、そもそも遮音性はかなり低く、遮音性に与える影響は相対的に低いと判断。穴あけ加工を行った。0.4ミリを採用している。
⑧音導管処理
ここが時間を要した。
色んな素材を試した。太さ、長さもめちゃくちゃ試した。
試したものは以下。
・銅の筒(電工パーツ)
・鉄の筒
・真鍮の筒
・ビニールパイプ(シリコン)
・ビニールパイプ(熱収縮パイプ)
・和紙
・大学ノート(笑)
・各種スポンジ
・紙ヤスリ
結果的にはなんと、紙ヤスリを仕込んだ。
もうやけっぱち。。。。な訳ではなく、60番から1000番くらいまでの番手で音質変化を確かめて、中域付近のピークが抑えられるものを探した。
上の写真で、青色の物がソレ。60番ではかなりしっとりした音になり、1000番ではあまり変化が感じられない。
最終的に240番を選択した。
スポンジだと高い方から減衰する。高域が刺さる場合はそれで良いが、中域がきつい場合は、高域がなくなる分余計にキンキンする。
音導管を細くした場合には、中域〜高域まで減衰するが、それでも高域の方が多く削られる。
そこで、音導管を細くせず、またスポンジなどで塞がずに抵抗だけを大きくする方法を探した。結果、紙ヤスリになった。紙ヤスリだと、内面だけを荒立たせることができる。また、色んな番手があり試しやすい。
まぁ、色んなイヤホンで違いを感じやすく、面白い遊びだと思う。
まぁ、見た目が貧乏くさいのだが。。。(^^)
⑨ケーブル
普段使っているケーブルを使うのが嫌だったので、新たに組んだ。
材料は以前にG4さんから、通販で買っていたもの。7N銀メッキ導線。8本編みにした。
音はハイグレードケーブルの部類に入ると思うのだが。。(プラシーボかもねー。)
⑩その他
久しぶりに電車の中で使ってみてビックリした。気持ちいい音量を探すと、どんどんボリュームを上げてしまう。
遮音性がないためだと思うが、カスタムイヤホンで聴いている時よりqp2r で10くらい大きい。
マジかー。耳も痛くなるし耳を痛めてしまう。(T_T)
耳をいたわるため、もうカスタムイヤホンしか使わないと思う。
◯まとめ
イヤーチップ型のイヤホンは、遮音性がなく、筐体がグラグラして鼓膜に対する位置が決められない。それを踏まえて、チューニングを進める必要がある。
遮音性の無さは、少し低音を強めにして、遮音性不足を補えるとして、位置が決められないことへの対応は、少し音をぼんやりさせて位置が狂っているのを気づかせないようにする?
そんな課題も意識しつつ。。。
今回のコンテストは、レギュレーションが何も決まっていなかった。せめて、他の自作コンテストの事例にならって、
・再生機器
・審査音源(2、3曲の音源提供)
は決めて欲しかったなー。でないと、参加者に公正な審査が実施されている印象が与えられないように感じる。
といっても、結局中域が制御できなかったので、私には対応不能だったが。。(T_T)
まぁ、とにかく応募できた。なんだか気楽になった〜。次は自分の好みのためだけにイヤホン作ろっと(^^)