自作備忘録(カスタム IEM 自作)

イヤホン カスタム iem 自作

final Piano Forte IX ④

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やはり音が全く気に入らないので、解体した。

ノーマルの筐体を割るのはかなり難しそうに感じたので辞めていたが、中を調整しないと全く話にならないと結論した。

筐体の隙間にカッターを添わせて、少しづつグリグリすると意外に簡単に分解できた。

 

やはり、ドライバの背面は、ものすごく開放穴が多い。設計の古さを感じる。

ドライバの前面にまでアクセスできないと、音の調整は難しいのだが、なかなか外せない。

仕方ないのでこのままで調整してみる。

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出音を確認しながら調整した。

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背面の穴は全て塞ぐことになったが、まだまだ中域が強く、また高音が不足する。。。

 

こりゃダメだな。

d( ̄  ̄)

このドライバは、何か良いアイデアができるまで放置することにした。

また、気が向けば触ってみよう。

 

という訳で、次に行きます。

 

100均イヤホン 改造 2020④

続いて、もう少し音質を上げていきたいと思う。

私が気になったのは、中域にある独特の響き。

これを無くしたい。

先ずはイヤホン筐体の「ザ、プラスチック」という感じの質感からどうにかしてみる。

 

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前のブログの最後に100均マニュキアを載せていたが、これを塗りたくる。

マニュキアは、小型の筆も付いているので手間いらず。扱いやすい。

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何回か重ね塗りして、分厚い膜を作るイメージ。

これで聴いてみると、中域の響きはずいぶんマシになった。振動の仕方が変わったのか、音が落ち着いた。

本来であれば、この工程はレジンでやっている。レジンだとカチカチに硬い膜になるので、高音を残したままで音が落ち着く。

 

だが、マニュキアだと、低音が出過ぎてしまった。

聞けないこともないが、モコモコの一歩手前。

こりゃダメだ。。。

 

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てな訳で、低音部を落ち着かせるために、オモリを追加する。

今回は直径3ミリ程度の鉄球とした。100均にはないかな?別に球じゃなくても、小さいボルトなどでも良いと思う。

重さは一個あたり0.12グラム。

ちと軽すぎる。本当は2g以上使いたいのだが、今回は筐体が小さいので妥協した。

 

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こんな感じで固定。この感じだと、ちゃんと蓋が閉まると思う。

本来、ここまでで、大まかな音は完成することが多いのだが、今回はまだ低音が多め。(もう少しオモリを使いたかったが、もう入らない)

 

 

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そこで、ドライバ前面の筐体に極小の穴を開ける。

これでかなり、音のバランスは改善した。

今回は、ドリルは0.3ミリを使ったが、普通は0.3だと大きすぎると思う。まぁ、たまたまうまくいった。

 

 

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最後にカナル先端部を再度削り込みながら、左右のバランスを整える。

ほんのすこーーーしだけ削るだけで、凄く表情が変わる。音質バランスが変わるというわけではなく、楽器のピントが変化する感じ。

ここは、時間をかけて調整して欲しい。

ここまでで、ほぼ完成。

 

さて、出音だ。

明らかな欠点は消したつもりなので、お気に入りのイヤホンと比較してみる。

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ZEROオーディオの CARBO BASSO

ユニバーサルタイプのイヤホンは使わないのだが、これだけは使い勝手がよく使っている。

 

以下のレビューは、あくまで、現時点のチューニングでの比較。音の近さや表情はチューニングで結構変わるのであしからず。

先ず感じるのが、ZEROの方がボーカルが近い。100均は角が柔らかく、少し遠い。これはこれで悪くない。嫌いじゃない。

高音付近はZEROの方が空間が広く上まで広がる感じ。だが、100均もそんなに悪いわけではない。

低音域は量としては同等。だが、ZEROの方が明瞭。解像度が高いというか、低音楽器の輪郭が掴みやすい。

また100均は、全体的に解像度が少なめ。空間の広がりはあまり感じない。なにか雑味があるのか、聞こえている音は悪くないのだが、「空間が広いな」とは感じにくい。

100均でも全体に出音自体はさほど悪くない。このイヤホンでもまぁ使えなくもないというレベルにはできたと思う。

 

リケーブルや、筐体の大幅入れ替えをしなくても、時間をかけてチューニングすれば、もう少し音は上げられるとは思う。ZEROにも負けないくらいにはなるのでは?と感じる。

チューニングと言っても、ほんのわずかに穴を広げたり、カナル先端部を削ったり、マニュキアを再度塗ったり。。そんなレベル。意欲のある人は頑張ってみて欲しい。

 

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最後に、今回使った主な道具。

写真以外では、瞬間接着があると便利かも。

左のスクレイパーは、筐体を割るのに使う。100均にある。テープは、ビニールテープでもいける。

写真のドリルと接着剤以外は、100均的なものでどうにかなると思う。

 

〜注意点〜

今回の100均イヤホンは、中域が強すぎたため、ドライバ背面の穴は全て完全に塞いでしまった。多分他の100均イヤホンも似たようなものだとは思うが、普通はドライバの背面の穴は塞がない。

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写真はドライバ背面の穴。

ここをどれだけ塞ぐかで、全体のチューニング方法はめちゃ変わる。

出音を聞きながら作業して、もしここを塞がないことを選択したら、筐体の背面にも0.3ミリ程度の穴を開けて欲しい。

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筐体の後ろの方。ドライバより後ろならどこでも良い。音を聞きながら0.3ミリ程度から少しづつ広げていく。低音の量がめちゃくちゃ変わると思う。

お気をつけください。

 

 

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今宵はペーパームーン

コロナ自粛だが、どうにか乗り切りたいものだ。

 

 

100均 イヤホン 改造 2020③

前回までの改造で、100均イヤホンにも可能性を感じてもらえたと思う。

すこし補足をする。

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私はプラスチックの板はこれからとった。

テレワーク用に用意したパソコン機器の入っていたパッケージ。

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ちなみに、よく使っているドリルはこんな感じ。

ホームセンターで普通に買える。

持ち手と合わせて3千円くらいかな。

 

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ドライバに板を貼り付ける前の段階。

パーツはかなり細かい。

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前回の写真はテープで貼り付けていたが、接着剤で貼り付け直した。

瞬間接着剤など、何でも良いが、密閉して欲しい。

 

先ずは0.5ミリ程度の穴で音を聞いて欲しい。

低音がかなり出ていると思うが、中域や高域に被ってないはず。

もう少し高音が欲しければ、穴を少し拡大してやれば、高域が増える。好みで調節すれば良い。

私は、0.5ミリがらスタートして、0.7ミリまで拡大した。

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まぁ満足する音になったら、次にドライバを固定する。

硬すぎず、また分解が可能な接着剤が良いと思う。

私は写真のものを使っている。

爪楊枝を使って、丁寧に隙間に詰めていく。

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接着剤を詰めた状態。

固定が目的ではなく、隙間を埋めることが目的であることを意識する。

 

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筐体の背面の音抜き穴を埋めておく。

今回はあまり使わなさそうだが、必要があれば、小さい穴を別に開ければ良い。ノーマルの穴はどう見ても大きすぎ。。

 

ここまでで、組み立て音を聞いて欲しい。

まぁ、間違いなく100均の音ではないと思う。普通にいい音に感じてもらえると思う。

だがこれって、普通に丁寧に組み上げた段階だと思う。つまり、100均イヤホンのノーマルケーブルやドライバでもそこそこな音は出せる。特にリケーブルは変化がないわけではないのだが、チューニングで起こる変化の幅に比べると本当に僅かな変化だと思う。先ずは100均ケーブルでチューニングを楽しんで欲しい。

 

今回組んでみて、私も驚いた。数年前に書いた記事のものとは比べ物にならない、いい音がする。100均イヤホンでも凄い音が出せる。。。

d( ̄  ̄)

 

 

 

今回、コロナ対策で外出を自粛されている方へ、楽しみの一つとして簡単なチューニングメニューを紹介したかった。楽しんでもらえたらいいな。。

 

出音を聴いて、ここまでで満足される方も多いと思う。。しかし、更に上を目指したい方用に、、、

つづく〜(^^)

 

 

ヒントは、、

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100均 イヤホン 改造 2020②

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続いてドライバの調整に入る。

まず、ドライバ背面の音抜き穴。

小さな穴が3つある。こんな小さい穴でも3つは開きすぎ。

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これを塞いでいく。

写真は2つ塞いだところ。中域の暴れ方がめちゃくちゃ落ち着いてきた。このあと、3つ目も塞いだ。

写真では、布テープを使っているが100均で買えるビニールテープでも構わない(密閉できれば何でもいい)。

音は確認しながら進めていく。いちいち筐体を組むのが面倒なら、そのまま耳に当ててもいい。変化に気付けるはず。

 

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次にドライバ前面の穴を塞ぐ。

先ずは中心の穴を塞いでみる。高音が減るのがわかるはず。

続いて、真ん中を塞いだまま、周辺の穴のうち2つを塞いでみる。今度は高音が盛大に出てくるのがわかるはず。この時点で音はかなり改善している。

筐体に組み込んで聴いてみて欲しい。100均?と思えると思う。

5つ開いた穴を塞ぐ箇所をいろいろ変えるだけでもかなり楽しめると思う。

だが、まだ中域に変な癖が残る。

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さてここからが核心。

まず、薄いプラスチックの板を用意する。

コンビニでも何でもいい。お菓子や文具の包装で充分。意外に色々あるはず。とにかくプラタックの板ならいい。ひょっとしたら厚紙でも良いかも。

そこに、0.5ミリ程度の穴を開ける。

この小さなドリルがないのなら、コンパスの針でもいいかもしれない。

そして穴を開けた板を適当な大きさに切り抜き、、、、

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ドライバの真ん中の穴を塞ぐように貼り付ける。

そして他の穴は全て塞ぐ。

ドリルで開けた穴がドライバの穴の中心に来るように注意する。

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さて、この状態で、軽くパーツに組み込んで音を確認してみて欲しい。

 

どうでしょう?

お世辞ではなく、めちゃくちゃいい音になってない??

(^ ^)

 

 

つづく〜

 

 

 

 

 

 

100均 イヤホン 改造 2020①

過去に何度か、100均イヤホンで遊んできた。

しかし、今見ると未熟な部分も多い。恥ずかしくなる。

 

その1(2018年1月)

http://domingo55.hatenablog.com/entry/2018/01/20/001429

 

その2(2018年7月)

http://domingo55.hatenablog.com/entry/2018/07/28/235323

 

その3(2018年7月)

http://domingo55.hatenablog.com/entry/2018/07/29/003034

 

その後、チューニング方法に対する理解が進んできたと思う。ここで再度、勉強の意味も込めて本気でチューニングしてみることにする。

また、作業内容は特殊なことはせず、誰でもできるよう、なるべく簡便なものとしたい。

 

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材料は、普通にセリア系で買えるこのイヤホンを使う。

まず、出音を確認した。

中域が強く、高音、低音が殺されている。また、中域にエコーがかかったような変な響きがあり、壊れてるんじゃないかと疑ってしまう。確実に100均イヤホンの音だと断言できる。

 

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アルミの筐体と、イヤーチップをつける側の境目から割ることができる。

強度はチョット強め。筐体に傷がつくと思うが、安いので気にしない。

この子は、100均イヤホンの中では、まぁ普通の作りをしていた。ドライバも固定されていたし、筐体の強度もある。

他の100均イヤホンより若干マシかな。

 

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ドライバは、銀色の部分にカッター等をあてて、そーーっと持ち上げてやると普通に外れる。分解はここまで。

この状態で聞いてみると、相変わらず、中域になにか物凄い違和感を感じる。

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念のため、別の個体も使って確認してみた。

別の個体でも同じ音がしていた。不良品というわけではなさそうだ。

とんでもない中域マシンなのだが、この中域に変なリバーブがかかっているように聞こえるのは、おそらくドライバの背圧が足りない症状だと思う。

 

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気を取り直して、カスタムに着手する。

先ずは、音の出口付近にあるゴミ侵入防止の突っ張りを取り除く。デザインカッターを突っ込んで、削り取る。

 

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続いて、音の出口部分、写真の箇所の角を落とす。

これで、音の流れが普通になって、高音も強調されたはず。

 

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内部のバリも取り除いて、こんな感じにする。

さて、次はドライバの加工に着手する。

 

つづく〜

 

古いイヤホン 〜設計思想の変化について〜

古いイヤホンに、名作は無い。

乱暴な言い方だが、色々分解してみて得た結論。

 

古いイヤホンとは、ゼンハイザーのIE800以前のイヤホンとしたい。年代的には2012年ごろ以前のもの。

〜訂正〜

EX1000は2010年、IE800より2年も前に発売されていたようだ。大まかにはこの辺りで大きく音が変わってきたように感じる。(以下、該当部を訂正)

 

この辺りで、イヤホンの設計手法が大まかに確立された感じがする。

それ以前のイヤホンでは、イヤホン開発にコストをかける必要が無かったのか、「真っ当な」イヤホンがほぼ皆無だと思う。

 

分解してみると明確にわかるが、制振の仕方や接着剤の使い方も変なかんじだし、なによりドライバ前後の「音抜き穴」の設け方が全くでたらめなものが多い。ホームオーディオのスピーカーBOXの設計思想が流用されているおり、全くチグハグになっている感がある。

確かに何度も何度も作り直して研究しないとベストな穴の開け方にたどり着けないが、この時代はそのトライアンドエラーが充分でないように思う。その結果として、大きすぎる穴が開けられ、音が暴れている。

イヤホンの音ってこんなものだよね?という時代だったのだろう。

 

I2010年辺りから、優れたイヤホンは、おそらく色んな設計者によって分解、模倣が行われたと思う。そして、設計手法が概ね共有された。

その結果、でたらめなイヤホンは減ってきたと考えられる。

 

そして、2018年ごろから、更に設計手法が進んできた。SONYやZEROオーディオ等の製品から見て取れる。具体的には、音抜き穴の更なるチューニングが進められている。この辺りからコンマ数ミリの調整で音が激変する事が一般認識になり出したと思う。intimeや茶楽人等はその手法を上手く活かして低価格製品製品の品質を大きく向上させた。

 

そして、2020年。ダイナミックドライバのチューニング手法に追従する形で、BAドライバの設計手法も変わりつつある。カスタムイヤホン的な大型の筐体が流行っている影響で、ドライバ自体のレイアウトの自由度がすごく上がっているのが原因。

 

といっても、イヤホンのチューニング技術はまだ発展途上。ワイヤレスイヤホンの普及により、この流れが止まることがないように願っている。

 

私もまだまだ。音作りはこれからかな。

d( ̄  ̄)

 

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ロードバイクを復活させた。

ワイヤー類がしんでいた。

久しぶりに乗るとその爽快感に驚いた。

こんなに簡単にスピードが出るんだ。

(^ ^)

 

これで、電車に乗らなくても済むかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

final Piano Forte IX ③

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チューニングを進めてみた。

カナル出口は、大幅に拡大。高音部が改善されたが、まだまだまだまだ不足している。元々ドライバーからの高音量が少ないのだと思う。

ドライバの背圧調整は、音抜き穴を全て完全に閉塞させてた後、0.3ミリから少しづつ穴を拡大して調整した。0.4ミリ程度がちょうど良いと思う。

低音は16ミリドライバらしく、かなり下まで出て、空間表現も良好。下手に膨らむこともなく、聞いていて楽しい。

 

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しかし、中域がどうしようもなく強すぎる。

音源によっては聴けないこともないが、女性ボーカルなどを聴くと、刺さりまくる。

また、解像度が低い。

最低欲しいと思える解像度の下限ギリギリかな。

 

中域は、ドライバ背面の開口部を調整してやれば解決できそうだが、筐体を分解する必要がある。

しかし、解像度はどうしようも無いので、多分、中域を改善できても使わないと思う。

 

という訳で、現時点では final Piano Forte IX の作業はここまでかな。

見た目が面白いので、使ってみたかったが、これより良いイヤホンは数多あると思う。

 

まぁ、シェルデザインの勉強にはなったと思う。

以上。

d( ̄  ̄)